マレーシアの第二都市であるジョホール、そのなかでマレー半島最南端の町、ジョホールバルは通称JBなどと呼ばれ、特に日本サッカーファンの間では、1997年に日本が初めてワールドカップ出場の切符をつかみ取った、「ジョホールバルの歓喜」の場所として、非常に馴染み深い聖地として、親しまれてきました。
マレー半島最南端の町ジョホールバルは、シンガポールとわずか1kmの橋でつながっています。そのためシンガポールから日帰り旅行でショッピングやゴルフなど、気軽に行けるアクセスの良さから、シンガポール在住者、シンガポールへの観光客もふらっと立ち寄る人が多い場所です。
今回はそのジョホールバルで、サッカーファンが訪れるべき場所をまとめてみました。
ジョホールの歴史とサッカー
1511年、ポルトガルによってマラッカを占領されたとき、マラッカ王国のスルタンが各地を転々とした後、マレー半島南端に移動して建設した王国がジョホール王国です。マラッカ王国を継承するイスラーム教国の港市国家で、その後の政変を経て、1866年にスルタン・アブ・バカールが王に即位します。
マレー半島の他の州が英国の植民地となっていくのに対し、ジョホール王国は独立を維持し、独自の経済開発を進めました。
そのためスルタン・アブ・バカールは『近代ジョホールの父』と呼ばれています。1965年にシンガポールが独立しましたが、その後はマレーシアの南の玄関口として繁栄して来ました。
ジョホールの人は自分たちを「マレーシアン」ではなく「ジョホーリアン」と呼ぶ人も多く、街中でもマレーシア国旗よりも、ジョホール国旗(青&赤)を見ることが多くあります。
サッカーにおいては、ジョホール王族の皇太子がオーナーであるJDT(ジョホール・ダルル・タクジム)が東南アジア屈指の強豪として有名です。現在マレーシア国内リーグ10連覇中。2017年より6年連続でアジアチャンピオンズリーグ(ACL)本大会へ出場しており、ジョホールバルの街中の人が知っている超人気クラブになっています。
シンガポールからジョホールバルへの行き方
国境は24時間オープンで、バス、タクシー、電車など陸路でジョホールバルへ行けます。
もちろん国境を超える移動のため、パスポートの携帯は必須です。またシンガポールからマレーシア入国にデジタル入国カードの登録がありますので、こちらもお忘れなく。
ジョホールバルとシンガポールをつなぐ国境は2か所あり、昔から使用されているシンガポールの北側の「ジョホール・シンガポール・コーズウェイ(Johor-Singapore Causeway)」、渋滞緩和のため新しく作られた西側の、「マレーシア・シンガポール・セカンドリンク(Malaysia-Singapore Second Link)」があります。
ジョホール・シンガポール・コーズウェイ(Johor-Singapore Causeway)
ジョホール・シンガポール・コーズウェイ(Johor-Singapore Causeway)は、シンガポールの北側の町、ウッドランズとジョホールバルの中心地、JB SENTRALを結んでいます。こちらのルートは、1日に約6万台の車両が通過するアジアで最も交通の往来が激しい場所の1つで、かなり込み合います。
シンガポールのチャンギ空港からバスも出ていますし、シンガポールから通常は1-2時間でジョホールバルまで到着します。しかし金曜夜などは、かなりの渋滞が予想され、筆者自身の経験では渋滞にはまり最大6時間ほどかかったこともありますので、行程には十分余裕をもった計画をおすすめします。
きちんと時間通りに行動したい、渋滞にはまりたくない、ということを強くお望みでしたら、コーズウェイリンクを走る電車での移動をおすすめします。しかし電車は本数も少なく(1時間1本あるかないか)、当日ではチケットが完売していることがほとんどですので、事前に以下のサイトからチケットを予約が便利です。
Shuttle Tebrau JB SENTRAL(ジョホールバル)⇔ WOODLANDS CIQ(シンガポール)
ちなみにシンガポールからの乗車は発車時刻の20分前、ジョホールバルからの乗車は発車時刻の10分前に乗車が締め切られます。改札通過後にパスポートチェックなどもあることを考慮して時間に余裕をもって行動ください。
ジョホール・シンガポール・セカンドリンク(Johor-Singapore Tuas Second Link)
コーズウェイの渋滞緩和のために作られた、シンガポールの西側からジョホールバルに入るルートになります。
こちらは車を手配して直接渡るか、もしくはJurong Eastのバスターミナルから向かうのがおすすめです。
詳細は割愛しますが、Jurong Town Hall Bus Interchangeというところから、行先に応じて、CW3もしくはCW4という黄色いバスに乗車します。
支払いは基本的に全て現金で、クレジットカードの使用は不可ですので、お気を付けください。だいたいバスに乗車してから2時間程度でジョホールバルに到着します。
JDT(ジョホール・ダルル・タクジム)
JDT(ジョホール・ダルル・タクジム)はJOHOR SOUTHERN TIGERS(ジョホール・サザン・タイガース)という愛称で呼ばれ、現在は東南アジアで最も成功したクラブの一つです。ジョホール王族の皇太子がオーナーで、現在マレーシア国内リーグ10連覇中、かつては元アルゼンチン代表のパブロ・アイマールもプレーしていました。マレーシア国内で圧倒的な成績もあり、ジョホーリアンの非常に熱いサポータにも支えられています。
マレーシアのプロサッカーリーグ(Malaysia Super League)は、2024年からACLの日程変更に伴い、シーズンスタートが2024年5月、終了が2024年4月とされていますので、もし週末でタイミングがあえば、リーグ10連覇中のマレーシア王者の試合をぜひ観戦してみてください。
チケットは基本的に全てオンラインで購入となり、シンガポールプレミアリーグと違って、当日券販売はほとんどありませんので、あらかじめチケットを入手のうえ、スタジアムに行かれることをおすすめします。
また試合会場へのアクセスの問題から、試合当日は毎日かなりの渋滞になります。GRABなどの配車アプリもつかまりづらく、試合開始1時間以上前にはスタジアムに到着を目指す、といったゆとりある行程でちょうどよいかもしれません。
Larkin Stadium (ラーキンスタジアム)
1997年11月16日、ジョホールバルの歓喜として有名な日本代表対イラン代表が行われたスタジアムです。当時は1万人を超える日本人がここジョホールバルに集まり、日本代表のワールドカップ出場を見届けたそうです。スタジアムは度重なる改修を経て、当時のおもかげを残していませんが、日本人的には何かを感じるパワースポットなのでは?
現在はJDT(ジョホール・ダルル・タクジム)のBチームなどの試合などがメインに実施されているそうです。
Johor Japan Football Gallery(ジョホールバルの歓喜記念ギャラリー)
Johor Japan Friendship AssociationというNPO団体が、2017年に「ジョホールバルの歓喜」から20年を記念して設立したギャラリーです。当時の写真や新聞記事のほかに、高橋陽一先生が、このギャラリーのために書き下ろしたキャプテン翼のオリジナルイラストなどが展示してあります。
こちらが2017年のオープニング記念式典の様子です。
Sultan Ibrahim Stadium
2020年にJDTのオーナーであるジョホール王族が皇太子がつくった、JDT(ジョホール・ダルル・タクジム)の4万人を収容する新しいホームスタジアムです。通常のマレーシアリーグでの試合に加えて、ACLの試合もここで行われることが多く、今後は日本人も多く訪れる機会が増えることになるでしょう。2020年には、StadiumDB.comが主催のするアワードで、Stadium of the Year 2020を獲得しました。
スタジアムでは金曜~日曜の、11.30am, 2pm & 4pmのタイミングでスタジアムツアーなども開催しています。(サッカー試合開催日を除く)60マレーシアリンギット/人で、クレジットカードは使用できませんので、ご注意ください。ツアーでは英語のガイドがつき、JDTのチーム歴史を聞けたり、スタジアム内のドレッシングルーム、メディアルーム、実際のフィールドや優勝トロフィーなどをみることができます。
Boys Of Straits グッズショップ
JDT(ジョホール・ダルル・タクジム)のウルトラスサポーターグループであるBoys Of Straitsのグッズショップです。上述の聖地Larkin Stadiumや、新スタジアムのSultan Ibrahim Stadiumにもサポーターのグッズショップが開設されています。オフィシャルグッズとはまた違ったテイストのアイテムが購入できます。タトルマフラーやTシャツ、さらにはステッカーなどサッカー好きのお土産におすすめです。もちろん各スタジアムにはJDTチームのオフィシャルグッズショップもございますので、ぜひ訪れてみてください。